FRB利下げへ転換、本当にコントロールしたいこと? 先行指標は?
今回の気になることは「FRB利下げへ転換、本当にコントロールしたいこと? 先行指標は?」です
6/19に、アメリカFRBは、FOMC会合にて、景気減速リスクによる年内利下げを示唆した
アメリカは、19年6月に戦後最長の景気拡大期間120ヶ月に並ぶ中、利下げへの
転換は景気拡大を延命するのか?終わりの始まりのシグナル点灯を示すのか見通しを立てます
また、FRBが本当にコントロールしたいこと? 先行指標は? を分析して、
今後の投資行動を考えましょう
1.FRB声明文(6/19)の概要
米連邦準備理事会(FRB)は19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金融政策の現状維持を決め、年2.25~2.50%のまま据え置いた
ただ、声明文には「経済活動は拡大が続くとみているが、先行きの不確実性が増して
おり、成長持続へ適切な行動をとる」と明記
金融政策も「不確実性や物価停滞という観点から、今後の経済情報を注視し、経済成長
や2%の物価上昇率を持続するため、適切な行動をとるだろう」と明記した
パウエル議長は19日の記者会見で「前回会合以降、逆風が再び強まった」と指摘し、
貿易戦争による輸出入の減退や企業心理の悪化を景気の懸念材料として挙げている
2.FRBとは?
FRB(The Federal Reserve Boardの略)は、日本における日銀と同じ、アメリカの中央銀行制度の最高意思決定機関で、日本語で「連邦準備理事会」とも呼ばれます
連邦準備理事会は、7名の理事から構成されていますFRBが開く金融政策の最高意思決定機関に連邦公開市場委員会(FOMC)があり、FRBの理事7名や地区ごとの連邦準備銀行(FRB)総裁5名で構成されていて、アメリカの金融政策を決定しています
FRBの使命は、金融政策による経済の安定成長であり、雇用の最大化と物価の安定を
2大経済指標として重要視して、コントロールを図っています
3.雇用は堅調、物価は目標未達
2大経済指標の1つ目、雇用は失業率が5月に3.6%と前月に続き49年ぶりの
低水準にあります
4月までの求人数は失業者数を上回っており、人手不足感があり、雇用は堅調です
2つ目の経済指標の物価は、FRB目標の2%を下回るレベルです
雇用が堅調で人手不足による賃金上昇が見られる一方で、物価が上がらない理由は、
米中貿易戦争が景気減速懸念によるものも、要因に挙げられますが、アメリカは内需
主導であり影響度はまだ小さいからだと思います
物価上昇が高まらない理由は、スマホ・AIなど技術革新によるサービスの創造・生産性向上のため、原価低減にあると考えます
4.景気減速懸念とFRB政策影響力の構図
米中貿易戦争により、中国関連の経済指標に景気減速懸念が高まっています
そのため、FRBは利下げを示唆し、先手を打つ構えを見せています
また、トランプ大統領からも、利下げ要求を受けており、大統領からの独立性を
法律上うたわれているFRBですが、さすがに利下げ対応を迫られています
トランプ大統領は、来年20年秋に大統領選挙を控え、あらゆる手段で景気上昇
させ、アピールしたいと考えています
米中貿易戦争は、G20で一定の歩み寄りが期待されますが、根深い構造的な
問題であるため、長期戦が予想されます
先行きの不確実性が払拭しきれないため、利下げ圧力が高まっていくでしょう
5.FRBが本当にコントロールしたい経済指標は?
FRBは、雇用の最大化と物価の安定を2大経済指標として重要視して、
コントロールを図っていますが、それは、表向きかと思います
実質的には、あらゆる経済指標の中でも、将来をも瞬時に織り込む「株価」を、
最重要な経済指標として、FRBは注視しています
株価は不確実性が大きく、変動が大きいため、不安をあおる懸念があり、
表向きは、株価をコントロールして長期安定上昇させると、宣言できないのです
アメリカは、個人の金融資産内訳でも、株式投資等リスク資産の比率が半分程度を
占め、株価の低迷、大幅下落は、実体経済への影響が非常に大きいです
トランプ大統領も、同じ理由で株価を政治アピールとして、大変重要視しています
株価の中でも、個別企業銘柄の全体感を表すダウ工業30種、S&P500、
ナスダック総合指数などのインデックスが、代表値として注視されるでしょう
6.運転手は二人?
FRBもトランプ大統領も、株価をコントロールしたいのは、同じです
ただし、狙いが異なります
FRBは、株価の長期安定上昇を狙っています
トランプ大統領は、有権者の支持率であり、来年20年秋の次期大統領選挙での
勝利のためあらゆる手段を講じると予想され、これから1年余りの株価の短中期上昇を
狙っています
トランプ大統領が、強引な大規模減税や米中貿易戦争などのアクセル・ブレーキを頻繁に繰り返して、スピードの出し過ぎ、停まりかけたりする中で、FRBが金融政策を
タイミングを見て、違うアクセル・ブレーキで、安定速度を保とうとしている構図かと
思います
アメリカはもとより、世界経済の運転手が二人いるようなものです
7.アメリカの景気拡大は戦後最長、どこまで続く?
景気拡大は、いつか終わります
それは、過去の長い経済活動で得られた大いなる知見です
現在のアメリカの景気拡大局面はリーマンショックが底を打ち、世界に先立ち2009年6月から続いており、2019年6月に120ヶ月と戦後最長となる歴史的に類を
見ない景気拡大期間に現在います
従って、現状のような米中貿易戦争による景気減速リスクが高まると、大きく動揺し
身構えています
8.利下げは、景気拡大の延命か?終わりの始まりか?
米中貿易戦争はブレーキです、利下げはアクセル
利下げをタイミング良く行ったり、利下げが不要な米中貿易戦争が解決されると、
「景気拡大の延命」がもたらされます
利下げのアクセルが、早過ぎると景気が過熱しスピードオーバーからの急失速し、
不況入りとなります
利下げが遅すぎると、そのまま景気減速し不況入りとなります
利下げのタイミングを誤ると不況入り、つまり「終わりの始まり」です
9.先行指標は?
運転手の一人FRBは、多くの経済データを分析し、有識者による政策運営をしており、ある程度行動が読めます
しかし、もう一人の運転手トランプ大統領は、強引で突発的な政策運営が過去3年弱の実績からわかります
さらに、来年20年秋の大統領選挙に向けて、支持率低迷やスキャンダルなどが不利な状況下になると、どんな飛び道具を出すかわかりませんが、あらゆる手段で株価を
上昇させるでしょう
トランプ大統領の大統領選挙に向けた状況が、景気・株価の先行指標と考えます
2020年秋までは、株価は乱高下するが、上昇基調にあり、景気拡大は続くと
見込みます
2020年秋以降は、景気循環で景気後退、または大型インフラ投資など気運が高まり皆が安心し過ぎているとバブル化するでしょう
10.今後の投資行動
トランプ大統領の大統領選挙に向けた状況を注視して、2020年秋までの短・中期とそれ以降の長期に分けて、株式投資の行動を取りましょう
11.まとめ
・FRBは、景気減速を懸念して年内利下げを示唆した
・FRBは、雇用と物価を重要視して、経済安定成長を図っている
・FRBが、最も重要視しているのは、株価であり、コントロールを図っている
トランプ大統領も、株価を重要視している
・景気、株価の先行指標は、トランプ大統領の2020年秋の大統領選挙状況である
・2020年秋までの短・中期とそれ以降の長期に分けて、株式投資の行動を
取りましょう
自分の将来に向かって、リスクとリターン、時間軸を考えて行動しよう
投資は自己責任で、よりよい資産運用を!!
本件、少しでも参考になれば幸いです
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